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APTX4869(APOPTOXIN4869[1]、アポトキシンよんはちろくきゅう)は、青山剛昌の漫画およびその派生作品『名探偵コナン』に登場する毒薬である。

設定 編集

黒の組織の科学者[2]であるシェリーこと宮野志保(灰原哀)が、同じく黒の組織の科学者[2]であった両親宮野厚司宮野エレーナから受け継ぎ開発している薬物。組織からシェリーが失踪した影響により開発が滞っており、本来の開発目的の薬はいまだ試作段階になっている。

もともとこの薬は毒薬として開発されたものではなく、他の何らかの効果を求めて作られたものらしく、後に灰原も江戸川コナンに「毒なんて作っているつもりはなかった」と語っている。だが、マウスを使った実験ではそのほとんどが死に至る上に、これが体内から毒物反応が出ないという、完全犯罪が可能な毒薬としても利用できることを知った組織は、開発者であるシェリーに無断で暗殺用途に使用することにした。その一方で、1匹のマウスだけ死亡せずに幼児化(17歳の工藤新一と18歳の宮野志保が小学1年生になっていることから、だいたい11~12歳ぐらい)する事例が確認されていた。しかし、組織に反発していたこともあってか、シェリーはそれを報告せずにいた。

報告を受けていない組織は、APTX4869に幼児化の効果があるとは知らずに暗殺用途として使い始め、その被害者の1人がほかならぬ工藤新一であった。組織の裏取引を目撃した新一の口封じとして、組織幹部ジンにより「完全な毒薬」として投与されたものの、新一が死に至ることはなく、実験段階でシェリーだけが認識していた幼児化の現象が現れた。その後も組織の暗殺に多用された形跡があり、新一以外のすべての服用者の死亡が確認された一方で、新一だけが例外として「不明」のデータが記録されていた。

その後、新一が幼児化して生きていることを察知したシェリーは彼に対し強い興味を持ち、「疑わしきはどんな手を使ってでも消す」といったやり方をする組織から彼を研究対象として守るため、データを「死亡」に書き換える。その後、組織への反発が原因で研究を中止したため組織に監禁されていたシェリーは、隠し持っていたAPTXを自殺目的で服用したところ、新一と同様の幼児化現象が現れ、組織から脱出することができた。

この薬の本来の開発目的について作中で明言されてはいないが、灰原や組織の一員であるピスコの台詞や原作28巻第8話「悪魔の矢」に登場する名簿など若返り、あるいは不老不死の可能性を示唆する表現が散見できる。

薬の開発コード"4869"を語呂合わせして読むと、名探偵であるシャーロック・ホームズのファーストネームになることと、薬自体が試作品段階のことから、組織の人間からは"出来損ないの名探偵"という通り名で呼ばれることがある。さらに、組織のコンピュータに記録されたこの薬のデータにアクセスする際のパスワードは、ホームズという作品自体が試作段階だったときに作者アーサー・コナン・ドイルが仮の呼び名として付けた"Shellingford Holmes(シェリングフォード・ホームズ)"のファーストネームを取って"Shellingford"と設定されている。

なお、現実世界の化学物質としてのAPTXとは、Aparataxin(アパラタキシン)と呼ばれる早発性失調原因たんぱく質である。

作用 編集

Apoptosis scheme

薬の主要効果アポトーシスの解説図

プログラム細胞死(アポトーシス)を誘導するとともに、テロメアーゼ活性によって細胞の増殖能力を高める。投与された場合、エネルギー消費を伴うアポトーシス作用によって強い発熱を伴い、「骨が溶ける」かのような感覚に襲われた後、通常は死に至り死体からは何も検出されないが、ごくまれにアポトーシスの偶発的な作用でDNAのプログラムが逆行し、神経組織を除いた骨格、筋肉、内臓、体毛などのすべての細胞が幼児期の頃まで後退化することがある。

解毒方法 編集

今のところ幼児化に対する完全な解毒方法は確立していない。それでも、偶然的もしくは実験的理由により、工藤新一は7回、宮野志保は1回だけ元の体に戻ったことがある(数字は原作でのもの)。

  1. コナンが白乾児(パイカル)を偶然飲んだことによる。
  2. 灰原がコナンの指示によりパイカルを飲んだことによる。
  3. 上記(アルコールの成分が作用して元の体に戻ったこと)を参考に、開発者の灰原が阿笠博士と協力し解毒剤の試作品を作り上げた。
    • 効果は不完全で持続時間は約36時間。
    • 阿笠博士が風邪薬と間違えて試作品をコナンに渡し、それを服用したことで元の体に戻った際は、約24時間後に幼児化した。
    • その直後にさらに試作品を服用し元の体に戻った際は、立て続けに服用したため効果が長く持続せずに約4時間でまた幼児化した。
  4. 依頼者のお礼として、ロンドンへ行く際、江戸川コナンのパスポートは取れないことに気づき、灰原に解毒剤をもらって元の身体に戻り、出国および再入国検査を通過した。(ロンドン滞在中にも1回服用している)

いずれのケースにも共通しているのは、被験者が風邪を引いた状態でパイカルまたはそれに準じた成分を摂取したことである。

最初の事例後に、コナンは「もっと大量に飲めば完全に元の姿に戻るだろう」と考えてもう一度パイカルを飲んだが効果はまったく得られなかった。これに対して阿笠博士は「免疫ができた」という仮説を立てた。しかし、このときコナンは風邪を引いていなかった(治した)ため、「風邪を引いた状態でのみパイカルは解毒作用を表す」可能性は否定できない。なお、劇場版『迷宮の十字路』でも、阿笠博士が開発した「風邪を引いたときと同じ症状を出す薬」を使い、強い風邪を引いた状態を再現(本当に引いているわけではない)した上で解毒剤を服用しコナンは元の体に戻っている。

『名探偵コナン SECRET FILE(OVA)』(少年サンデー特製DVD)の第9話「10年後の異邦人(ストレンジャー)」では、コナンが朝から38.7℃の熱を出し、灰原から「解毒剤の新しい試作品ができた」との電話を受けてその薬を飲んだところ工藤新一に戻った状態で意識を失い、10年後の夢を見ていただけで、目が覚めたときにはコナンに戻っていた。

いずれのケースにおいても、多量の人体構成たんぱく質、脂肪、カルシウムなどがどこから採取されているか、どこへ漏出しているかということが疑問であるが、そのことへの解説は今のところなされていない。

毎回、解毒剤の効果が切れ、元に戻るタイムリミットが近づくにつれて呼吸が荒くなり、目もうつろになり激しい動悸のため胸を押さえるシーンがある。映画を除き、いずれも解毒剤を飲む前から風邪を引いた状態であり、風邪薬と間違えられ解毒剤を飲まされたこともある。この際は熱が下がるどころか余計ひどくなる様子で、毛利蘭から「すごい熱」と驚かれ、苦しみ方を見た毛利小五郎からは「苦しみ方が尋常じゃないぞ」と言われており、普通の状態ではないことが分かる。

脚注 編集

  1. 単行本24巻File.10「過去からの銃弾」に登場したパソコン画面の表示より。
  2. 2.0 2.1 薬品開発の研究者は「化学者」と表記されるべきだが、原作では「科学者」と表記されている。

関連項目 編集

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